安全に暮らすために

海外で生活をすること……、それは日本での安全な生活とは異なることだと、誰もが自覚していると思います。しかし、現地の生活に慣れてきたり、日本人と接する機会が多くなると、ついつい日本にいたころと変わらない安全感覚を持ってしまいがちです。

ベルギーは比較的、治安のよい国だといわれていますが、特に首都ブリュッセルは多様な価値観を持った様々な人種の人々が住む街でもあり、大都市ゆえに犯罪やトラブルが多発しています。

安全といわれるエリアの住宅地でも、空き巣やスリ、強盗の犯罪の被害にあったという話を頻繁に聞きます。人ごとではなく、いつ自分の身に降りかかってきてもおかしくない状況だということを常に意識してください。

ベルギーでの滞在生活をより快適に安心して暮らしていけるように、日々の暮らしの中で心がけておくこと、注意すること、安全対策を行うことについてBE NAVI編集部でわかりやすくまとめてみました。

まずは、いちばん身近な問題で関心の高い『住まいの安全』から。

住居選びのポイント

生活の基盤となる住宅選びは慎重に行いましょう。
引越しまであまり時間がないという場合もありますが、安全なエリアや住居の防犯設備についてできるだけ多くの情報を得て、安全性に対する妥協は極力避けてください。

  • エリアについて、土地勘のある人不動産屋、前任者など)から情報を集めること。
  • 居住地区を選定する際に、周囲の環境をよく調査すること。昼間だけでなく、夜間の状況も確認すること。
  • 公共交通機関を利用する場合、駅(停留所)の雰囲気、また家までの道のりの確認をすること。
  • メゾン(一戸建て)、アパート(集合住宅)、どちらかが絶対に安全ということはない。どちらのケースでも空き巣の被害は発生しているため、それぞれの家屋にあった防犯対策が必要。
アパート(集合住宅)の防犯対策のポイント
  • 建物の正面玄関は、居住者以外が勝手に出入りできない構造になっていること。
  • 建物内駐車場はリモートキーか専用の鍵での開閉が設定され、部外者が容易に入れない構造になっていること。
  • 正面玄関のインターフォンは監視カメラ付きが望ましい。
  • ベランダからの侵入を防ぐために、鍵の強化、防犯ブザーなど自衛手段をとること。
  • 外部からの侵入が比較的に困難と思われる高層階が望ましい。
メゾン(一戸建て)の防犯対策のポイント
  • 玄関扉、勝手口扉は内開きであること。(蝶番が外側についているとそこから扉を破壊し、侵入される恐れがあるため)
  • 扉に飾りガラスや明かり取りガラスが付いているとガラスを破壊され鍵を開けられる恐れがあるため、ガラスがない方が理想的である。
  • 駐車場のシャッター扉はきちんと施錠され、外部からの侵入ができないような構造になっていること。
  • センサーなど侵入警戒装置防犯アラーム)がついているとより効果的である。
アパート、メゾン共通の防犯対策について

<扉の錠前>

  • 錠前は2種類以上取り付けてあること。
  • 防犯性能の高い錠前は、鍵山の多いもの、扉の両面に鍵穴があるもの(両面シリンダー)、かんぬき(デットボルト)は長いもので1つの錠前に対してかんぬきが複数箇所設置されているもの(マルチロックポイント)。
  • チェーン錠などを取り付けることにより、防犯性能をより高めることもできる。

<窓>

  • ベルギーでは一般的に複層ガラス、または強化ガラスが取り付けられているが、石やバールなどで簡単に破壊できるため、メゾン(一戸建て)はもちろんのこと、アパートでも地上階など外部からの侵入が容易とされる場所は、シャッターや格子を取り付けるなどして防犯を強化すること。

<長期間不在にする場合>

  • 施錠を確実にし、タイマー式スイッチを使用した室内灯の点灯、ラジオの作動など不在だと思わせないよう工夫する。
  • スーツケースなどの大きな荷物を運び出す際にできるだけ人目につかないようにする。
  • 郵便物をためないようにする。信頼のおける友人、隣人に郵便物の管理を依頼する
空き巣の被害にあわないために~日頃の心構え~

どろぼう

☆どろぼうは『時間がかかる』ことが嫌い

侵入に5分以上かかるとあきらめるといわれているため、窓や扉は頑丈なもの、補助錠を取り付けるなどして侵入されにくい環境作りを行う。

☆どろぼうは『音(アラーム)』が嫌い

扉や窓にセンサー式の防犯アラームなど音の出るものを取り付けてどろぼうを威嚇する。

☆どろぼうは『光(ライト)』が嫌い

玄関や駐車場など死角になりやすい場所にセンサーライトを設置する。暗闇に隠れられなくする。

☆どろぼうは『人の目』が嫌い

家の周りに、様子を探るような不審者がいたり、運転手が乗ったままの怪しい車がいる場合、顔や車のナンバーをしっかり見て警戒していることを示す。また警察に連絡してパトロールを依頼する。

最後に、危機管理において自分の身は自分で守るという『セルフディフェンス』は基本姿勢ですが、日頃から近隣の人たちと良好な関係を心がけ、お互いに助け合ったり、情報交換することはとても重要なポイントです。何かが起こったときに、頼れる人、信頼できる人が近隣にいると心強いものです。

*ベルギー国内の犯罪総数、主な罪種・手口など、詳しくは『在留邦人向け安全の手引き 在ベルギー日本大使館』に掲載されています。